兄弟喧嘩のように言い合っていた俺たちは、同時に彼女へと視線を向ける。
「……寒い」
自分の体を抱いて、小さく震える彼女。
「あぁ、ごめ……」
「うんうん、そうだよね。ここ寒いよねぇ。……ほら、早く! 何してんの、鍵は?」
放ったらかしにしていたことを謝ろうとしたとき、俺の言葉を覆うように常盤が話しかける。
「自分も中へ入って当たり前だ」というかのような態度で、俺に玄関のドアを開けさせようとする常盤。
ムカついたから言い返そうとしたけれど、凍えるような花を見下ろした俺は、グッとこらえた。
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