3LDKの城 ① 途中まで公開


兄弟喧嘩のように言い合っていた俺たちは、同時に彼女へと視線を向ける。

「……寒い」

自分の体を抱いて、小さく震える彼女。

「あぁ、ごめ……」

「うんうん、そうだよね。ここ寒いよねぇ。……ほら、早く! 何してんの、鍵は?」

放ったらかしにしていたことを謝ろうとしたとき、俺の言葉を覆うように常盤が話しかける。

「自分も中へ入って当たり前だ」というかのような態度で、俺に玄関のドアを開けさせようとする常盤。

ムカついたから言い返そうとしたけれど、凍えるような花を見下ろした俺は、グッとこらえた。