3LDKの城 ① 途中まで公開


「早く帰れって。相談は今度にしてくれって言っただろ?」

シールをはがすかのように、花から常盤の手を放す俺。

「えー!! ここまで連れてきたくせに、それは無いんじゃないのー?」

「お前が勝手についてきたんだろーが!!」

子供みたいに駄々をこねる常盤の相手をしていると、頭が痛くなる。

俺は短い髪の毛をクシャクシャかきながら、必死に帰らせようとしていた。

意地でも座り続ける常盤に、大きな声で怒鳴りながら。

そのとき、だ。

「……っくしゅ」

俺たちのやり取りを静かに見ていた花が、突然、くしゃみをした。