そばで電話が終わるのを待っている常盤は、そんな俺をジーッと見つめている。
慌てていることを恥ずかしく思った俺は、彼に背を向けて身を縮めた。
「落ち着けって。一体、何があったんだよ?」
そう問いかけながら、俺は彼女がこうなっている原因を自分なりに考えていた。
もしかしたら、またおじさんが何かしたのかもしれない。
親父の兄でもある花の父親は、昔から何かと厄介な人で、娘を大切にしない人だった。
うちの両親もそんな彼を呆れた目で見ていたし、小さい頃の花は泣いてばかりいた。
「落ち着け」と言われたことで、彼女は声のトーンを下げていく。
だけど、シクシク泣くだけで、何があったのかまでは言ってこない。



