3LDKの城 ① 途中まで公開


そばで電話が終わるのを待っている常盤は、そんな俺をジーッと見つめている。

慌てていることを恥ずかしく思った俺は、彼に背を向けて身を縮めた。

「落ち着けって。一体、何があったんだよ?」

そう問いかけながら、俺は彼女がこうなっている原因を自分なりに考えていた。

もしかしたら、またおじさんが何かしたのかもしれない。

親父の兄でもある花の父親は、昔から何かと厄介な人で、娘を大切にしない人だった。

うちの両親もそんな彼を呆れた目で見ていたし、小さい頃の花は泣いてばかりいた。

「落ち着け」と言われたことで、彼女は声のトーンを下げていく。

だけど、シクシク泣くだけで、何があったのかまでは言ってこない。