「……なに?」
裏があるのをわかっていたとは言え、飲んでしまったことには変わらない。
どんな相談をしてくるのかはわからないが、今回は仕方なく話くらいは聞いてやろうと思った。
けれど、常盤は俺の顔色をうかがうだけで、なかなかその先を言おうとはしない。
……言ってこないなら、さっさと帰ろう。
そう思って会社を出ようとしたら、常盤は「待って待って」と言いながら、俺の服をギュッと掴んでくる。
「なんだよ、早く言えよ!」
スーツにしわが入ったことで一気に苛立った俺は、常盤の顔を邪険な目で睨む。
「ここじゃ話しにくいから、飯でも……」
珍しく遠慮がちな彼は、しかめっ面になる俺の耳元に手を添えて、小声で話しかけてきた。



