3LDKの城 ① 途中まで公開


「あの!!」

悩んだ結果、俺は彼の後を追った。

「い……今、花は俺と一緒に住んでます!」

俺は息を切らしながら、立ち止まってくれたおじさんに、花の居場所を伝える。

電灯の明かりで見えたおじさんの姿は、少し痩せこけている感じがした。

「あ、俺……去年の春に離婚して、今はその家に住んでるんですけど。行くところがなくて困ってた花を……うちで置くことにして、こ……この前から一緒に住んでるんです」

花のことだから、きっと自分が住んでいるところなんて知らせていないはず。

言おうか言うまいか、すごく悩んだ。

だけど、娘を心配しない親なんていないと思ったから。