高校2年の秋に、大腸がんで入院していた祖父が亡くなった。 顔を合わす度、家に居場所がないあたしを心配してくれていた、優しいおじいちゃん。 通夜と葬式、親たちは慌ただしく動いているのに、あたしは1本の柱を失った気がして、ずっと泣いていた。 あの女に「何もしない役立たず」と呟かれたことで、余計に祖父のことが恋しくなっていたと思う。 嫌味を言われているところを、近くで見ていたのだろうか。 一切、目も合わせていなかったのに、陽平は突然、あたしのそばへきて、スッとハンカチを出してきた。