ボサボサの髪が涙で濡れる。
ここは部屋の中なのに、外にいるみたいな寒さが体を冷やしていく。
布団に顔をうずめ、声が漏れないように下唇を噛んだ。
けれど、口が震える度、少しだけ声が漏れる。
「当たり前のことだろ」
何のためらいもなく、彼はその言葉を口にした。
……そうだよ、花。
陽平は当たり前のことを言っただけ。
何も間違ってはいない。
ずっと自分に言い聞かせていた台詞を、相手に言われただけじゃない。
泣く必要なんてないんだよ。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…