ボサボサの髪が涙で濡れる。

ここは部屋の中なのに、外にいるみたいな寒さが体を冷やしていく。

布団に顔をうずめ、声が漏れないように下唇を噛んだ。

けれど、口が震える度、少しだけ声が漏れる。

「当たり前のことだろ」

何のためらいもなく、彼はその言葉を口にした。

……そうだよ、花。

陽平は当たり前のことを言っただけ。

何も間違ってはいない。

ずっと自分に言い聞かせていた台詞を、相手に言われただけじゃない。

泣く必要なんてないんだよ。