台所で手を洗って冷蔵庫を開けるあたしに、美佳は両手を合わせながら「今日、エイジを泊めるから」と言ってきた。
エイジの態度にカチンときたあたしは、返事もせずにもう1つの部屋に入っていく。
あたしと美佳は、2つの部屋を一緒に使っていた。
リビングと寝室に分けていたため、今、あたしがいる部屋にはテレビなんか置いているはずもなく、あるのは布団とクローゼットだけ。
美佳はすでに自分の布団を向こうの部屋に移していたようで、電気をつけると寝室は妙に広々とした空間になっていた。
扉の向こうから、テレビの笑い声と低い声が聞こえてくる。
甘ったるい美佳の声も、うっとうしくてたまらない。



