3LDKの城 ① 途中まで公開


一緒に料理をしたり、朝まで飲み明かしたり、夜中に2人で出かけたり……。

ご飯を誰かと一緒に食べる、ということも嬉しかった。
だけど、そんな生活は美佳が新しい彼氏を作ったことで終わっていく。

朝帰りも多くなり、休日はいつも出かけていた美佳。

独り身のあたしは彼女の代わりに、家の掃除や洗濯を1人ですることも多かった。

そのことを話せば、美佳も「すぐに出て行け」とは言いにくいはず。

「お金が貯まるまで出て行くもんか」

そうつぶやきながらドアを開けるあたしは、美佳の言い分に一歩も引かないつもりでいた。

けれど、その気持ちは一瞬で消えていく。

見たこともない大きなスニーカーが、脱いだままの状態で転がっている。