「……花に手を出すな」

鋭い視線が針のように刺さってくる。

張り詰めた空気の中、俺は緩めていた口元を閉じた。

「なぁんだ。もう知ってんだ? 花ブーって意外とお喋りなんだな」

心の中で舌打ちをした俺は、頭の後ろで両腕を組みながら、どうってことのないような態度で返事をした。

もう少し面白くなると思ってたのに、残念。

「花はお前の周りにいるような軽い女じゃない。これ以上、花にちょっかい出すな」

陽平は表情を1つも変えず、険しい目で俺を睨み続ける。