よく見てみると四人の女子が私を囲んでいる
はぁ………殴られたりするのかねー
そんなことを思いながらトボトボ廊下を歩いていると
「どこ行くんだ」
後ろから声が聞こえた
この声…………
「な、棗くん」
1番の主犯だと思われる女の子が彼の名前を呼ぶ
棗くんって…名前呼ばれてるじゃん
ズキッ
なんだろ…………これ
でもそんなこと考えてる状況じゃないから無視することにした
「菜穂」
「…………っ」
まるで周りの女子が見えてないかのように話しかけてくる
ドキッ
あぁ、なんか…………
今すぐ棗のところに逃げたい……かも
「私達今から遊びに行くの!」
「そ、そう。友達5人で♪」
必死に…嘘をつく他の女子
「そーなのか?」
疑った目で私を見つめる
”違うよ”
そう言いたい……けど
ここで言っても迷惑かけるだけだよね
「うん、ホント」
あまりにも見つめる彼からの視線を避けるために少し俯いた
「そ、ならいいけど」
スッ
彼はそれだけ言って私の横を通り過ぎた
ポロ
「…………あれ?」
頬につたう何かを拭う
右目から出てきた涙
なんで………涙なんか………
あぁ、そっか…………
ホントは
棗に気付いて欲しかったんだ____
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