「ここ、初めて来た」
「今は新しいのが別館に出来てここは誰も使わねーからな」
へぇー、そーなんだぁ
……………っじゃなくて!
「どーゆーこと?」
「なにが」
なにがって……いろいろ聞きたいことがある
「アンタの名前って黒羽棗じゃないの?」
「あ、ちゃんと、覚えてんじゃん」
「覚えてるけど……白馬って誰?」
「俺」
「…………ふざけないで」
「いや、ふざけてない」
「名前は1つって知らないの?」
「そんなん知らねーやつ人間じゃねー」
じゃぁ…………白馬って
「白馬は知らねーよ。勝手に付けられてた。」
「みんな……白馬って呼ぶの?」
「女はな」
「え、じゃぁ私もそっちでっ」
「お前はいい」
「……………え?」
「お前は……名前で呼んで欲しい」
「……………っ」
そんなこと言われたら………
勘違いしそうになる
「棗…………そう呼べ」
「無理だよ……」
「じゃー。命令1」
「うっ………それホントにするの?」
「痣まだ消えてねーから」
「ダサっ………」
「んだと?」
「いえ…………」
「ほら、呼べよ」
「…………………」
は、恥ずかしいし
「はぁ………呼べねぇなら」
ドサッ
「えっちょっ……」
ドアを背中に感じ座らせられる状態になった
「身体で払ってもらおっかなぁ」
ニヤッと何かを思いついたような顔で私を見る
「わ、わかった言うから!」
最近こんなこと多すぎ!
「な…………つめ」
「……聞こえない」
「…………なつめ」
「もう一回」
「えっ」
「ほら」
「………………………棗」
恥ずかしさで顔が蒸発しそうなくらい熱くなってることは自分でも分かっていた
それに、耐えられなくて俯いていると
「可愛いな……………菜穂」
……………………え?
驚きで顔を上げる
「なんで…………私の名前」
今までお前しか言わなかったのに
教えた覚えもないし………
「さぁね」
人差し指を口に当てて目を細める姿は
不覚にも
見とれてしまうほどカッコよかった__

