そろ〜っと………







「しつれいしま〜す……」







見てみるとそこは化学準備室だった





意外に広いなぁ〜








キョロキョロと辺りを見回すと……







「…………っ……いやぁ!」





思わず声を出してしまい目を瞑った




だ、だって!

か、カエルがぁ!!!!


あたしカエルだいっっっっきらいなの!


なんでこんなことろにあんなやつの

ホルマリン漬けがあるわけ?!


こーゆーのって……生物室とかっ



「誰?」




えっ…………





「か、カエルが……っ」




「は?」





カエルの方から声が聞こえる

あぁ、なんていい声なんだカエルめ

でも………でもっ



「カエルが喋ったぁ?!」



「………………」







や、やばいよここ!


早く逃げなきゃ


ドアどっちだっけ?!






「ドアあった!」



そっちの方向に体を向け

やっとの思いでドアに手をかけると




ドンッ



後ろからドアを押さえる手が……


ん?…………押さえる…………





「て、手?!」







カエルの手?!

いや、あいつはホルマリンだ!

でも………





「誰の手?!」





後ろを見ればすぐ分かるのに

見ようとしないのは怖いから。




その時







「お前……少し黙れよ」





低い……さっきと同じ声が聞こえてきた







「…………っ」







恐る恐る後ろを振り返っ






ドンッ







「きゃっ」







……る前にクルッと向きを変えられ

何故か壁ドン






目の前にはっ





「…………っ」






無造作にセットされた黒髪

吸い込まれそうな目

切れ長の整った眉毛

鼻筋も綺麗で高くて

今だけなのか元々なのか
むっと閉じられている口でさえも



ホントに……カッコイイと思った








「ねえ」




ビクッ



「震えてんの?」



「……いぇ」



「お前………」


「は………」


「は?」




だ、だめっ

近いし耐えらんない!

だいたいなんでこんな体勢になってんの?!




「離せバカ!!」


ドスっ


「……っ」






やっと解放された手でドアを開け

まだ右も左もわからない廊下をダッシュした