その瞬間、教室中がざわめいた。

それを見た健一は続けて言う。

「今、確かに鬼が外にいて危険かもしれない。でも、この中の誰かが答えを知って『鬼』を殺せるかもしれない。そしたらまたみんなが生き返ることができる」

そこで健一は一息ついてクラスを見回してから最後の一言を発した。

「俺に命を預けて行ってはみないか」

誰も何も言わない。

反対もしないし賛成もしない。

みんな誰かが何かを言うのを待っている。

「はいはーい、質もーん」

教室の中を能天気な声が駆け抜ける。

みんなは一斉に声の主の方向を見た。

そこには二人、みーちゃんと理奈子ちゃんが手を挙げて座っていた。

健一は二人を見てから「何ですか」と言って教卓の椅子に座った。