幻想館ーシンデレラ編ー

満たされていない何か・・・・・・。



私が手に入れる事の出来ない究極の愛。



愛し方、愛され方がよくわからない。



富を自由に使う事が出来ても、人の心は様々だった。




「美しい女性は、常に悩みを抱えているのですね」



彼の言葉は、慰め?

それでも相手にされないよりはマシなのかも・・・。



「私はシンデレラのように幸せになっていった・・・・・・欲しい物はどんな手段を使ってもね」



「あなたはいつもそうやって自問自答しているのですか?」




何が言いたいの!

心の中で叫んでいた


知らぬ間に私はスクリーンの物語に目を向けていた。



ここに来てから、自分の行動と思考が噛み合わない。



「あなたの人生は、運命の渦の中にあるほんの一部の事でしかないのです」


物語を見ようとするのをさえぎられてしまった。



「でも、私はそれを自分で築いて来たわ!」


反発するなんて、若い頃の自分に戻っているから・・・・・・?



「あっ・・・ごめんなさい・・・・・・」



「いえ、それより紅茶を入れ替えましょうか」



えっ、どうしてそんなにあっさり引き下がってしまったの?


本当は呆れてしまったのかしら


館長さんは、優しい微笑みを見せて奥に入っていった。