幻想館ーシンデレラ編ー

「どうかされましたか?」


えっ?


「急に表情が変わったので」


「おかしな顔でした?」


「いえ、神妙な感じが一転したので、とても華やかな花が咲いたような・・・」



彼・・・(多分、どう見ても殿方だわ)は、鋭い観察力で私の心の中を見抜いていた。



不思議な人。



あなたのその深いブルーの瞳に吸い込まれそうな・・・そんな錯覚になる。



優しい微笑みなのに何故か感情が無いような・・・・・・



今まで私が出逢った男性には全くいなかった人。



「あなたはお幸せな女性ですね」


「どうして?」

その言葉の意味がわからなかった。



「何を謙遜しているのです。
今のあなたは社交界の美しい薔薇のようですよ」


そう言われて真横の鏡をチラッと見た。



!・・・そうよ、今の私は昔の若かった頃に戻っていたんだわ・・・すっかり忘れていたわね。


あの優雅でのんびりとした日々。


欲しい物は何でも手にいれた。

恋も全てが、私の心を満たしていく・・・・・・そんな気がした。




「確かにあなたは、自分の力で幸せを勝ちとってきたようですが、一つだけ今でも満たされてない事がありますね」



私は完全に満たされているわけではない