少し、深呼吸をしてドアを開ける。


中はランタンの灯り


目が慣れてくると、アンティーク調の家具が浮かび上がった


素敵な場所だわ



「あの・・・どなたかいらっしゃる?」



私はそう言い、ふと壁に掛けてある鏡に目を向けた。



薄暗い部屋の中なのに、私の顔がはっきり見えた


えっ・・・どうして?


鏡をじぃっと見つめながら、自分の顔を手で触ってみる。



信じられないわ・・・あの頃の輝いていた私が蘇ったのね。



自然に笑みがこぼれる。



不思議とか、そんな事は考えなかった。



やがて、奥の方から人影が見えた。



「ようこそ、幻想館へ こちらへどうぞ」



見事な銀髪


整った顔立ち




この時代に、こんな美しい人間がいるなんて・・・



私は益々、この世界に陶酔していく。



「さあ、どうぞ」


引かれた椅子に腰掛けた。



何だかとてもいい香り・・・



「ハーブティーは、いかがですか」



この香りだったのね


「いただくわ」



カップに注がれたハーブティーの香りを私は楽しんだ。



「ところで、あなたはここにおひとりで住んでいるのかしら?」


「ええ、そうです」


「ずいぶん寂しげな場所にいるのね」


そう言う私を、彼(?)はフッと笑った。