この時ほど、私は選ばれた人間であると実感した



転がり込む幸運。


でもそれは、ほんの一握りでしか過ぎない。



私はその夢を掴み取った



生活が天と地ほど変わった。



あれだけ私を拒み続けてきた母親と姉達は急に態度を変えた

手のひらを返したように優しくなり、事あるごとに会いにくる。



本当にウンザリ!



私が幼少期に受けた心の痛みを理解していない。



そんな心の傷を癒せるのは、お金でしかなかった。


夫の地位と私自身が築いたものは、お金というスパイスを十分降り注いで、更に私を輝かせていった


只、その中でとても悲しい出来事があった。

それは結婚してから二年経った晩秋の頃父親が病気で亡くなった。



父は常に陰から私を見守っていてくれた


心にぽっかり穴が空いたようだった。



父の為に立派なお墓を建てた。


小高い丘の上。


素敵な景色を毎日眺められるように・・・。