やみそうもない雨に思わず深いため息が出る。



濡れて帰るのもイヤだけど、



やみそうにない雨をいつまでも待つ気もない。



ホント……最悪。



そんな気分のまま立ち止まっていたあたし。



すると、



「……大塚…?」



そのあたしを呼ぶ声にゆっくりと振り向く。



「あ……」



なんで??



あたしは一気に顔が熱くなる感覚に包まれる。



なんでいるの??



「これから帰んの??俺も」



その声にドキドキするあたし。



そこにいたのは一人であたしを見る矢口潤だった。



「あれ??今日は部活ないの??それに……実夕は??」



慌ててそんな言葉しか出てこないあたし。



矢口潤はカバンからそっと折りたたみ傘を取り出して、



「これ、使ってよ」



そう言って、その傘をあたしに渡そうとした。