図書室で昔の新聞が取り揃えられてるから読み漁ったり、それから雑誌の記事を書いていた編集者にもアポをとって会いに行ったり、事件を担当した刑事にも会いに行ったなあ。


そのかいもあって、色々とわかってよかったよ。


真実を知る事によって、やっぱり人間ってすっきりするもんなんだよ。


事件のあった夜、母親は怒り狂って父親を刺したらしい。


刺し傷、40か所以上。


よっぽど腹が立ったんだろうな。


でも、不思議だったのは俺がその場に居なかった事だ。


聞いた話だと、まだ3歳だった俺は押入れの中で見つかったらしい。


容疑者である母親は、子供の事を想って押入れに入れたって供述したんだってよ。


子供の事を想って?


笑える話だけど、それって明らかに父親を殺す前提だったって事だろ?


随分とテレビやニュースでも取り上げられたみたいだけど、俺にしてみればその時の事なんてうっすらとしか覚えてないんだ。


母親は優しかった気がするし、父親はあまり家にいなかった印象だ。


どうしてそんな事になったのか知らないけど、許せなかったのは不倫相手が裁判で証言台に立った時の話だ。