本当はこれが何なのかわかっている……。


リクの髪形、体格、そして全身から感じとる印象。


でも、何でリクってわからなかったのかは明白だった。





体の中身が全て取り出されていた。


顔面は抉られるようにして空っぽ、そして胴体は切り開かれて何も残っていない。


残っているのは腕、足の四肢。


あらぬ方向に折れ曲がっているところを見る限り骨折している事は明白だった。


ここには、リクの外側だけが残っている。



「リク……!」


つい、昨日まで大学の教室で3人で過ごしていた時間が嘘のようだった。


目の前の出来事が嘘なのか?


それとも昨日までの出来事が嘘なのか?


拷問されて、その後で内臓を全部取り出されたのか?


作り物……これが人形だと信じたい。


でも、体で感じる臭いと触れた時の感触が人形ではないと否定していた。


こんな事が……。


目頭が熱くなり、恐怖で自然と涙が込み上げてきた。