自分でも信じれないほどの声が喉の奥から出た。
思わず手を離して、その物体から距離をとる。
立ち上がろうとして腰を抜かした。
床に広がる液体が手にべっとりとこびりつく。
動悸が激しくなり、どこからか尋常じゃないほどの汗が急に噴き出してくる。
「な、なんだよ、これ」
地面に広がる液体の正体は間違いなく、この得体の知れない物体からだった。
手についた真っ赤な液体は血だ。
床には、信じられないほどの血が広がっている。
鼻の奥を刺激するその匂い、全てが壁に寄り掛かった物体から放たれているものだ。
「リク……?」
リクの面影はあるような気がする。
でも、自分の目に映る光景はとてもじゃないが現実として受け止められない。
「ハアハア」
肩を掴んだ感触はやけに薄っぺらくて、そして冷たかった。
人間はあんな体温になるのだろうか。
神様はいないと思う。
だけど、もし神様が居るならこれが何なのか教えてほしかった。
