足下に妙な違和感を覚えた。
何かの液体を踏んだのか靴下に染み込んでくる。
そう言えば、靴も履いてこなかった。
この液体はなんだ?
ようやく慣れてきた目。
それでも薄ぐらいランタンの灯りは、牢屋の中を全体的に照らすのには乏しく俺は目を凝らした。
自分の足が踏んだ液体は、かなりの範囲で広がっているようだった。
こんなものは今までになかった。
同時に、鼻を突き刺すようなひどい匂いが牢屋内に漂っていることに気が付く。
今までに嗅いだこともないような酷い臭いだった。
強烈なその匂いに吐き気を覚えながら、俺は牢屋の中をひらすら見回した。
すると、壁の隅に誰かが座った状態で寄りかかっている光景が視界に映し出される。
「リク……?」
俺はふらふらとしながらも、おそらくリクであろう人影にゆっくりと近づいていった。
その時になって、ようやく足下に広がる液体はあの人影から床に伝っていることに気が付く。
「リク……!」
俺は一気に近づくと、屈みこんでリクの両肩を掴んだ。
