誰だ……?
もしかして、リクとユウカが帰ってきたのか……?
俺は椅子から立ち上がると、千鳥足で玄関に向かった。
そうだ。このタイミングで俺の家に来るなんて、どう考えてもリクとユウカしかいない。
玄関の鍵を開けて、俺は飛び出すぐらいの勢いで扉を押した。
扉の向こう側に立つ人物。
「?」
「庵瀬マモルさん。速達のお届けです」
郵便局員が、にこにこと愛想の良い笑いを浮かべている。
「そ……速達……?」
「はい。ここにサインをお願いします」
手際よく封筒を渡してくると、ペンを取り出してサインを求めてくる。
当たり前な事なのに、俺は何かが抜け落ちた気分で封筒を手に取った。
こんな時に……。
リクとユウカじゃなかった……。
「ありがとうございました」
郵便局員は、愛想よくそう言うと次の場所に向かうために足早と去っていく。
その後ろ姿を見ながら、俺は玄関の扉を閉めた。
溜め息をついてリビングに戻り、俺は椅子に座ってから封筒に目を落とした。
次の瞬間、封筒の裏面に記載された文字を見て、全身が固まる。
そこには、差出人の名前が書かれていた。
視界に入ってきたのは……。
刃物男の三文字。
俺は、破るように封筒を開けて中身を取り出した。
