え?
イヤホンからは、プー、プー、と通話終了を知らせる音のみが聞こえてくる。
次の瞬間、心臓が停止したような感覚に陥る。
無意識のうちに息が荒くなってきた。
何があったんだ?
あまりに一瞬の事だった。
刃物男に通話していた事がバレたのは明らかだ。
イヤホンを取れと言った声は淡々としていたが、血の気が引くほどゾッとするものだった。
頭の中で駆け巡る嫌な想像。
心臓がさっきとは比べ物にならないほど大きくそして細かく波を打ち始める。
騒がしい喫茶店内の音が遠退いていく気がした。
下腹部から突き上げてくる異常なストレス。
冷静になれ。
冷静になれ。
冷静になれ。
俺は手の平で胸の辺りの服を掴み、呼吸を整えようとした。
刃物男にイヤホンを取られたのかと思っていたが、よく考えればリクが自分で電話を切った可能性だってある。
寧ろ、その可能性の方が高いんじゃないだろうか?
