『ありがとうございました』
今度は刃物男がユウカに対してお礼を言ったようだった。
ここで「やっぱり居てください」ってゴネられたらたまったもんじゃないと思っていたが、向こうの言う通りラブホテルに入るためだけのメンバーで了承しているみたいだ。
意外とその辺りはルーズなのかもしれない。
人間カードをやっているとバレても良いとある程度は思っているのか?
それとも、やっぱり人間カードを実際にしている“現場”を見ないと弱みにはならないから余裕な態度なのだろうか?
ユウカの足音が聞こえ、段々とそれが離れていく。
いよいよここからが本番と言ってもいいだろう。
イヤホンの向こう側からも緊張感が伝わってきているような気がした。
指先でイヤホンに触れると、小刻みに震えている事に気が付いた。
リクはもっと恐怖心を抑え込んでいるに違いない。
先に口を開いたのは刃物男だった。
『すみません。煙草を吸ってもいいですか?』
意外な言葉。今はどんな言葉も意外と受け取ってしまうかもしれない。
『どうぞ』
リクが答えると、ライターで火を点ける音が聞こえてくる。
刃物男が煙を吸って大きく吐くと、次に発した言葉は本題だった。
『では早速始めましょうか』
再び煙と吸って吐く作業。
重々しく嫌な吐きかただった。
『でも、その前に……』
