頭の中では迷いが生じる。
本当にこの作戦で良かったのだろうか?
相手はただトレードに来ただけで、こっちが提案した物を差し出せばそのまま上手くいったんじゃないだろうか?
急に胸が締め付けられて、息苦しさを覚えた。
俺が人間カードを用意すれば、それでよかったんじゃないか?
わざわざ危険を冒さなくても……。
いや、俺らしくもない。
相手が何を考えているかわからない状況なんだ。
相手を騙すくらいの作戦じゃないと向こうが何かを仕掛けてきた時に対応できない。
それに今更この作戦は変えられないんだ。
リクとユウカを信じるしかない。
イヤホンからは刃物男の低い声が聞こえてくる。
『じゃあ、早速取引場所に行きたいと思いますが……どこかお決まりの場所などあります?』
すると、リクは人差し指で軽く道沿いを差しながら答えた。
『ここからちょっと行ったところにエスペラントってホテルがあるんですけど、どうっすかね?』
『エスペラントですか。初めて聞きました』
『そこなら男性二人と女性で入ってもうるさくない場所なんで。よく使うんすよ』
リクは相手の反応に慌てることなく、上手く対応している。
俺よりもアイツの方がこの役目に適していたのかもな。
少し口元が緩んだ。
