「じゃあ行ってくるな」
リクが席から立ち上がると、ユウカも俺を見て一度深く頷いてから立ち上がった。
刃物男に視線を戻すと、ヤツはキョロキョロと周囲を見渡すこともなく平然とした様子で立っている。
思ったよりも若い……。
第1印象はそんな雰囲気だった。
年齢は30歳前後だろうか。
髪をオールバックにしているせいかどことなく清潔感が漂っている。
体の線は細く、おそらく身長は175前後くらいだろう。
「おい。マモル!」
後ろからリクの声が聞こえ、俺は振り返った。
リクは自信たっぷりないつもの表情を浮かべて、親指を立てて俺に見せた。
「お前が居て本当によかったよ。ありがとな!」
俺はそんなリクの姿を見て少し和やかな気持ちになりながら、親指を立てる。
「なんだよ。そんな事は良いから早く終わらせてこい。帰ってきたら今日は3人で祝勝会をするぞ」
ユウカも俺とリクのやり取りを見ながら安心した表情を浮かべている。
そして、二人は俺に背を見せて一階に続く階段を降りていった。
俺は再び刃物男に視線を戻す。
よし、俺たちの状態は万全だ。
これ以上にないほど。
いつの間にか、雨は止んでいた。
少し傾きかけた夕陽が町を照らしている。
俺はそんな光を浴びながら、スマホを取り出して刃物男の姿を撮影した。
