いよいよ、取引当日を迎えた。


天気予報では晴れとなっていたが、今朝から雨が降っている。


空気は妙に冷たかった。


刃物男との待ち合わせまであと4時間ほど。


俺とリクとユウカは大学の教室で最後の段取りの確認をしていた。


リクはいつもと変わらない様子でパンを食べながら俺とユウカのやり取りを見ている。


それに対して、ユウカはいつもより明らかに暗い顔をしていた。


「上手くいくかな……?」


ユウカは不安げな顔をしてそう呟く。


俺はそんなユウカの肩に手を置いて、にっこりと笑ってこう言った。


「大丈夫だ。何度も確認したんだ。絶対に上手くいく」


作戦は極めて危険だが、最も成功しやすいものにした。


何度も何度も考えて、何度も何度もシミュレーションしたんだから間違いない。


「そうだよね……マモルが大丈夫って言った時は絶対に大丈夫だよね」


「ああ。早くユウカのオヤジさんを取り返そう。戻ってきた時はしっかり働いてもらわないとな」


俺の言葉に、ユウカは少し元気を取り戻したのか力強く頷いた。


その光景を見ていたリクが何故か大声で笑う。


「よし、ユウカ。もう一度作戦を確認しよう」


俺は紙に書いた作戦内容を見せた。