イケメン男は、俺にゆっくりと近づいてくると、自慢気な顔でこう話し始めた。


「気づかなかったろ? あんたがあの女を尾行している間、俺があんたを尾行していたことに」


「な、なんだって……?」


「あんたを見ていて、すぐにわかったよ。ただのストーカーじゃなくて、人間カードの為に弱味を探しているって」


俺の心は恐ろしさで震え上がっていた。


「弱味を必死に探すあんたは、すげえ懸命だったよ。同時に勉強になった。大胆に行動することがどんなに危険か」


「お、俺をどうするつもりだ!」


イケメン男は、イヤらしいほどに深い笑みを浮かべる。


「はっきり言っておく。痴漢の犯人は僕だ」


俺は胸ぐらを掴む勢いで、イケメン男に襲いかかろうとした。


しかし、イケメン男は軽やかに一歩後ろへ下がるとこう言った。


「問題ない。最早、誰にも知られることのない真実だ」


イケメン男は、懐から何かを取り出す。



「“人間カードにしている現場を見られた”これがアンタの弱味だ!」



取り出したのは、白紙の人間カードだった。