人間カード


いつもより校門を出る時間が少し早いな。


やっぱり早めに来て、心の準備をしといてよかった。


心なしか、女教師の表情が月曜日より明るい気がする。


今日は木曜日だ。


明日は金曜日だから、彼氏が泊まりに来ることでも想像して浮かれているんだろう。


俺は双眼鏡を外して、肉眼で女の行方を追った。


鞄に双眼鏡を仕舞って、非常階段を慌ただしく降りていく。


緊張しているせいか、体が思うように動かない。


口の中が渇いていて、気持ち悪かった。


非常階段を降りた後、俺は少し走って、次なるいつもの位置についた。


今度は人通りが多い商店街が続く通り。


女教師は、駅に行くまで必ずこの道を通っていく。


俺は女教師の姿がないか確認した。


「来た……」


思わず声に出して呟いてしまう。