今からこんな緊張していたら、本番はどんなに心臓がばくばくしているんだ。
早めに到着したのは悪いことではないはず。
何度も練習したって、本番で失敗した事例が星のように存在するんだ。
だから、あの女が出てくるまでに頭の中で何度もシミュレーションを重ねなければならない。
校門から出てくる生徒たちは、どいつもこいつも青春時代を謳歌している笑顔を浮かべている。
でも、普通に見てたら気がつかないが、そんな中でも憂鬱そうな顔をした奴らがたまに混じっているんだ。
孤独な雰囲気を醸し出して、一緒に帰る友達もいない一人きりの生徒が……。
俺がまさにそうだった。
今、思い返せば、人生は学生時代で決まったようなもんだ。
あの時の孤独が自分の中にまとわりついて、まさに今も俺は孤独だ。
そんな俺が、もうすぐ女教師を牢獄に閉じ込める。
天罰だ。
気がつけば、時刻は6時まであと10分ほどだった。
双眼鏡のレンズには、目的の女教師が映し出される。
