ノゾミは、あたしに変わった形の腕時計を返すように促しながら説明を続けた。
「ユイ。人間カードの存在を人に話すのは本当にリスクがある事なの。私はもう戻れないところまで人間カードに踏み込んでいる……。だけど、これだけはわかって。私は虐めている奴らを見返したい」
その時、ノゾミは手に持っていたトランプのデッキのような紙の束を天井に向かって投げ放った。
一枚一枚がヒラリヒラリと宙を舞って落下してくる。
その全ての紙に、さっきの中年男と同じように写真が入っているようだった。
数にして、多分100枚以上あると思う。
この一枚一枚に、本当に人が閉じ込められているの?
ノゾミは、そんな世界の住人なの?
あたしは未だ茫然としたまま、ノゾミに視線を戻した。
「私みたいにここまで深い世界にはまってほしくない。だけど、ユイにはこの人間カードを使って、あいつらに復讐してほしいの」
不公平じゃん。ユイがひどい目にあうなんて。
そう小さくノゾミは呟いた。
でも、次の言葉は悲しみというよりは、快楽に近い顔をしている。
「最高でしょ? 人間カード」
ノゾミは、これまでで一番の笑みをしていた。
