その音に、中に入っている男が気付いたのかこっちを見てきた。
「ああ! 何日ぶりだろう!」
男は力が入らないのか、悲鳴に近い声で床にへばり付きながらあたしたちの方に向かってくる。
あたしは衝撃を受けた。
男の顔が、さっきノゾミに見せてもらったカードに映った写真の人物と一致していたからだった。
「どうか! どうか食事をください!」
ノゾミは、牢屋の扉を開けて中にすたすたと入っていった。
「ユイは危ないから入ってこないでね」
背中姿だけど、あたしはそんなノゾミを見て何故か息を飲む。
ノゾミの手には、いつの間にかスタンガンが持たれていた。
男はノゾミの足にしがみつくようにして、悲愴感たっぷりの表情をしながら口を開いた。
「どうか! どうか家に帰してください! 妻と子供がずっと待っているんです」
写真とは異なり、上着は無く、ワイシャツは汚れてボロボロになっている。
臨場感満載のゲーム。
あたしはそう思い込む事で必死だった。
「あなたは家に帰れない。私に弱みを握られたんだから」
ノゾミの淡々とした口調に、あたしの背筋には寒気が走った。
