いつも尾行をする時のためにスタンバイしていた場所につき、校門をじっと見つめる。
築10年ほどのマンションの非常階段。
ここの最上階からは、双眼鏡を使えば校門を見ることができた。
マンションの住人は、ほとんどがエレベーターを使用するため人もあまり来ない。
見張るのには打ってつけの場所だ。
腕につけた時計に視線を落とすと、午後3時だった。
あと3時間もある。
ちょうど、学校の生徒が帰り始めている時刻だった。
いつもより早めに到着したのは、計画を確実に実行するための周到さからなのか、それとも焦っているのか。
自分でも自分の心が、何を感じているのかわからなくなっていた。
双眼鏡を持つ手は、既に油汗でヌメヌメしている。
