人間カード




「それで、何で人間を閉じ込めるの?」


あたしの言葉に、ピタリと体の動きを止めて無表情になるノゾミ。


地雷踏んだかな?


あたしは訊いちゃいけない事を言ったのかと思い、戸惑いを感じた。


「そんなの決まってるじゃん」


冷たく静かな声で呟くノゾミは、カンバスの絵に優しく触れた。




「嫌いな人を閉じ込めるの。嫌いな相手に好きな事ができるんだよ? 嫌いな相手に法律の外側で復讐できるんだよ?」




こんな憎悪に満ちたノゾミを見るのも初めてだった。


少しずり落ちたメガネの向こう側にあるもの。


目が笑っていない。


こんな表情をノゾミができる事も驚きだった。


「話しって、その事?」


あたしの言葉に、ノゾミはハッとしてこっちを向く。


元の優しい目に戻っていた。


ノゾミは何か企んだような顔をして、バッグが置いてある窓際まで走る。


「ねえー、ユイはさあ、今の生活どう思ってる?」


あたしに背中を見せて、ごそごそとバッグの中を探り始めるノゾミ。


あたしは、その言葉にどう答えようか悩んだ。