「おーい。席につけ」
細い体つきと少し猫背で、笑顔の気持ち悪い担任の男。
そう言えば、相談に乗るとか言いながらあたしの体をべたべた触ってきてたな。
その時は、大人の男の目をしていた。
そんな人間を信用する事はできない。
「今日の一時間目の現国の授業だが、宮本先生が昨日と同じように欠席のため自習とする」
「えー! 今日もかよ!」
主に男子たちから低い悲鳴が上がる。
宮本アカネは、学校内でも圧倒的な美人で主に男子たちから人気のある教師だ。
つい先日、電車の中で痴漢を捕まえた事が話題になり、生徒には痴漢撃退の指導をしている。
でも、そんな先生も秘密がある。
あたしは、たまたま見ちゃったんだ。
同じクラスメイトの男の子と一緒に歩いている姿を……。
別に誰かに話したわけじゃないけど。
3日ほど前から風邪ということで欠席しているみたいだけど、きっと何か事情があるのだろう。
誰にだって秘密はあるし、誰にだって弱みはある。
触れてほしくない部分に、あたしは触れることはない。
