ノゾミからあたしに話があるなんて珍しい事だ。
今までで初めてと言ってもいい。
何だろう。ちょっと気になるな。
恋の相談だろうか?
それとも、家の事かなんかの相談かな?
見当がつかない。
あたしは下駄箱の前に着くと、バッグから上履きを取り出した。
ちょっと前からだけど、上履きを下駄箱に入れておくと必ずと言っていいほど嫌がらせをされる。
だから、毎日持って帰ってるんだ。
ローファーも同じく。
バッグの中の上履きとローファーを入れ替える作業からあたしの1日は始まる。
「あら? おはよう。ユイ」
上履きを足にはめ込んでいる時、頭上から嫌な声が降ってきた。
あたしはその声に反応せず、爪先で床を2回叩いて歩き出す。
「無視かよ。このクソ女」
金色の長い髪と、派手な化粧。
頭のてっぺんはもう黒くなっている。
こいつが虐めの主犯格。
ショウコだ。
「てめえの机と椅子はねえぞ。帰れよ」
あたしはその言葉を聞いて、黙って体育館に向かった。
