何をされるのか、頭はよく理解していた。


刃物男は、オカマ野郎に淡々とした口調で話しかける。


「明日の朝までに何とかするぞ」


「ええ。もうこんな若い子のが手に入るなら、いくらでも頑張るわよお」


オカマ野郎は、並んだ器具の一つ一つを確認しながら答えた。


ランタンの灯りに照らされて光り輝く小さなナイフ。


「大丈夫。麻酔はかけるわよ。暴れて傷ついちゃうと困るから」


「何だよ。何するつもりだよ!」


俺は悲鳴に近い声を上げて叫んだ。


「あら、可愛い。大丈夫よ。貴方は痛みを感じないから」


オカマ野郎は悪魔のように深く笑う。


ボロボロの歯が余計に恐怖を駆り立てる。


まだ、人生の2分の1も生きていない俺だけど、その笑いを見て悟ったんだ。



きっと、俺はここで死ぬんだろうって。


人間が人間じゃないように見えたのは初めての経験だった。


刃物男が、何かに気が付いたように言う。


「ちょっと待て。やっぱり念のために腕の骨、指の骨、足の骨は全部折ってからにしよう。まだ隠している可能性があるかもしれない」


躊躇いもなく、俺は壊されていく。