「痛いだろ? 折れた箇所を握り締められると刃物でえぐられている気分になるだろ? あっ。その感覚がわからないか」
俺はその痛みさえも堪えるために、唇を噛みしめた。
ブチブチと音を立てて唇が切れていくのがわかる。
「本当に美木堂レンを知らないようだな」
「はあはあはあはあ」
刃物男は、俺の肘を離すとオカマ野郎の方に体を向けた。
「そうよ。元々、彼はマモルくんって子の代理で来たんでしょ? だったら、そっちの子に訊かなきゃ」
意味もなく刃物男は笑い声を上げ、俺の方にまた視線を戻してきた。
「佐久間リクくん。君は家に帰れる。美木堂レンを知っているならな。本当に知らないって事でいいのか? もし、知っていたらユウカちゃんも無事に帰してあげよう。これが最後の質問だ」
しばらく沈黙が続く。
ユウカだけは何とかして家に帰してあげたい。
俺のことはどうでもいいから。
ユウカを守るって決めてたんだから。
「知っている……。でも、それを話すならユウカを家に帰してからだ!」
俺は大声で刃物男に向かって怒鳴った。
刃物男は動揺する事なく、俺の事をじっと見据えていた。
