「意外だな。やけに落ち着いている。普通の大学生なら、こんな状況だともっと慌てるもんだぜ」
そうだ。不思議な事に、意外と自分の中では冷静さを保てていた。
「別に怖くねえよ。人間カードってやつに足を踏み込んだからには、それなりの覚悟はできている」
「そうか。そうか。強いんだな。佐久間リクくん。君にはいくつか訊きたい事があるんだ」
俺は縛り付けられた椅子から逃れようと、全身を使って暴れまわった。
「ユウカを! ユウカをどうした!」
怒鳴り声を上げると、オカマ野郎の方が意味深な目をして笑う。
「ふふふ。可愛いのねえ。自分の事よりも女の子の事を心配するなんて」
鼻の奥が熱くなって、自然と息が荒くなる。
ユウカも人間カードになって、どこかに閉じ込められている?
俺の事なんてどうでも良いから、ユウカだけはどうにか助けてあげたい。
「ああ。食べちゃいたい」
オカマ野郎は、真っ白な細い手で俺の頬を撫でてきた。
