何故、こいつが俺の事を知っていて、こいつが俺らの作戦まで把握していたのかはわからない。
今はそんな事を考えても答えが出るはずがない。
そもそも俺は馬鹿だし。
だったら、答えは一つだ。
力づくで叩きのめす。
俺は拳を強く握り締めた。
自慢じゃないが、腕っぷしには自信がある。
体格は良い方じゃないが、いざという時のために筋トレしてたし、高校時代に絡まれた時はケンカだってしてた。
「ここでユウカちゃんを追いかけないとは……。意外と冷静なんだな。佐久間リクくん」
「何で俺たちの事を知っているんだ?」
「そんな事はどうでもいいことだ。その握った拳をほどけよ。言っておくが喧嘩になったら、容赦なくぶん殴るぞ」
刃物男の言っている事は嘘ではないだろう。
こいつも自分の腕に自信を持っている。
だからこそ、動揺しないんだ。
修羅場を何度も経験している強み。
刃物男と差を感じたが、さらに強く拳を握り締めた。
「もうすぐマモルくんが心配して、警察を連れてここにやって来るかもしれない。俺も早くここから出ないとな」
殴る。
体が無意識に反応していた。
俺は机を乗り越えて、ソファに座る刃物男に殴りかかった。
