危なかったな。
スイートルームがある階は他に3部屋あるけど埋まっていた。
この3日間、毎日この時間に足を運んで部屋の空き状況を確認していたけどこんな事はなかったのに。
本番の時に何があるのかわからないって言葉は本当だな。
エレベーターに乗り、廊下を歩いていよいよスイートルームに入った。
部屋の中は、おしゃれな甘い匂いで満たされている。
その匂いを嗅ぎながら、俺は廊下を抜けてリビングに出た。
喉の奥がカラカラだ。
出来れば、コップに入った水を一気に飲み干したい。
ふと、視線をユウカに向けると、俺と目が合い小さく頷いた。
きっとユウカも俺と同じ気持ちなんだろう。
俺は予め決めていたソファに腰を下ろした。
「そちらへどうぞ」
刃物男には、俺の向かい側に座るように促す。
「おい。お前はもう帰っていいぞ」
ここも予定通り、ユウカに退室すように命じた。
「はい……」
ユウカは緊張しているせいか、いつもよりも小さな声で返事をした。
リビングから出ていくユウカの後ろ姿。
頼んだぞ。
ユウカ……。
俺の決意は固まっていた。
