でも、そんな事実を知ったところで俺の現実が変わるわけじゃない。
別にその女に復讐するつもりもないし、俺はじいちゃんとばあちゃんに本当の息子のように育ててもらっている。
じいちゃんもばあちゃんも大変だったと思うぜ。
世間では殺人事件のあった家族として見られるから引っ越しをしなきゃいけなかっただろうし、俺にその事件を知られない為にもずっと気を遣ってきただろうし。
だから、感謝の気持ちしかない。
幸いな事にも小学校でも中学校でも高校でも、そして大学でも、特に何の問題も無く過ごしていたしな。
マモルやユウカとずっと同じ道を歩んできたのも誇りに思えてる。
マモルはいつでも頼りになる奴で、ユウカはいつでも優しい女の子だった。
そう言えば、ユウカの事を女性として意識し始めたのもちょうど事件のことを調べている時ぐらいだったな。
あんなに可愛くて、あんなに優しい女性はいない。
でも、俺はこの3人の関係性を壊すつもりはなかった。
俺が自分の中の想いを告げることで壊れたら嫌だろ?
この3人の関係は絶対だ。
ユウカを守る。
ただ、それだけでいい。
