プールには30人近い生徒がいた。
見学にきている人はわたし以外にはいなかった。
わたしに気づいた1人の生徒が近づいてきた。
「見学ですか?
良かったら中にどうぞ」
爽やかな笑顔を見せる彼女は
水着姿ではなくジャージだった。
彼女の手にはストップウォッチとノート。
マネージャー?
わたしは彼女に言われるまま
中にはいった。
振り向くと母親は
口パクで
いっておいで
っと、言っていた。
「この間の大会で優勝した選手もいるんですよ」
彼女は指をさしながら説明してくれる。
毎年入部者は少なかったが、
去年の入部者がとても多かったようで、
今の1年生が大半らしい。
「水泳の経験は?」
「い、いえ…」
小学生のころに少し習っただけ。
飽き性のわたし
なかなか水泳も続かなかった。
