行きつけのお店のあなた。(仮)






「どう?」



会場の照明がぼんやり明るくなってきて

母親はわたしの顔を不安そうにのぞき込んだ。




これから頑張って勉強していけば

決して手の届かないことはないと思う。

推薦は厳しいかもしれないけど

専願で受験すれば

この高校に通うことができるかも。




「頑張ってみる」



母親はどこか嬉しそうな顔をして立ち上がる。




会場を後にする生徒たちと保護者は

部活見学にうつっている。



「部活見に行く?」



部活見学…


中学3年間はバレー部の幽霊部員。

毎日体育館に足は運んでいたものの、

練習に参加していたのは週に1回もないかもしれない。

昔から何かと長続きはしないタイプ。

習い事も長くて1年。

3か月で飽きてしまうことも多かった。



高校に入れば中学のときより部活の種類も多い。

新しく何かを始めてみるのもいいかもしれない。