コンコンッ…
「どうぞ」
中から声がする。
そしてわたしはそっとドアを開ける。
「えっ」
わたしは驚いた。
そこにはもう会えないと思っていた、
あの時のマネージャーさんがいたのだから。
「えっと、
もしかして初めましてじゃない?
わたし、浅岡紗矢(あさおかさや)です」
あの時から何も変わらない優しい笑顔だった。
「夏の学校説明会のとき、
水泳部の見学にいったんです、
その時に…
高倉成香です、よろしくお願いします」
わたしは深々と頭をさげた。
「あははっ、
そんなにかしこまらないで。
あの時の子だったのね
よろしく、成香ちゃん」
とまどいと
喜びと
緊張と
何もかも混ざって言葉が出なかった。