あーぁ
その顔は、ミーティングが難航したのか‥

「今ほど、宮内さんからお電話がありました。2ヶ月だそうですよ…おめでとうございます」

一気に表情が変わり笑みがこぼれた男が
俺の手を取り喜んでいる。

なぜ⁈‥
手をつなぐ⁈

「2ヶ月か…胡桃のお腹に……」

「感動されているところ申し訳ございませんが、手を離してください」

「つわりは大丈夫なのか⁈何を買えばいい?どうすればいい?…男か女か?どっちだ⁈」

何をパニックってる⁈
たかだか、妊娠がはっきりしただけでこれかよ…
これから先が思いやられる。

「落ち着きやがれ…俺は医者でもないしてめえの女でもない。気になるならさっさと宮内に電話して仕事始めろ」

繋いできた手を思いっきり振り払った。

「………そうだな、電話してくる」

落ち着きを取り戻したがどこか不安顔。
お前でも初めての出来事にそんな顔するんだな…

「つわりは妊娠初期だけだと言うぞ。お前もこれから大変だろうが、父親になるんだから彼女を支えてやれよ」


「………悪いが頼まれてくれないか⁈妊娠の本を買ってきてほしい」

はぁっ(怒)
ちょっと甘い顔をすれば雑用かよ。
そんな物自分で買いに行け…
雑用する為にお前の秘書になったんじゃないんだが…

今日は特別だからな。

「はい…かしこまりました。ご用意しておきますが、浮かれてないで本日中までの仕事は終わらせてください。祝賀パーティ早く帰りたいんでしょう⁈」

苦々しい表情で俺を睨むが痛くもない。

…零、お前にちゃんと仕事をさせるのは俺の仕事だが、お前は会社と社員の為に働くことが仕事だからな…頼むからこれ以上俺の仕事増やさないでくれよ。

こんな調子じゃ、今日中の仕事が終わらない。

とりあえず…その妊娠の本を買いに行ってくるか…

零、俺がいないからといってサボってないで仕事してろよ。