放課後。当たり前のように私の部屋に入るユウくん。
「うまくいったじゃん、カコ。」
「ありがと。…でも、本当に、悪い子なんていないよ。別に私、何もしてないね。」
「いいんじゃない、結果オーライで。…あのさ。カコにあげたキンセンカ、焼却処分しない?」
「…なんてこと言うの?」
「だってさ…もう、別れの悲しみなんてあってたまるかよ。」
「それでも、大切なものだよ。」
「もう、失いたくない。離れたくない。」

ふふ。その気持ちだけでいいよ。

「…じゃあ、タイムカプセルにでもする?」
「お!それいいね。…じゃ、今から行こうか。はやく準備して。」
「い、今から?」
「そうだけど?カコは、押し花だけ持ってきて。俺今から道具取ってくっから、準備して待ってろ。」

そう言うと、窓から自分の部屋へ入る。
泥で汚れそうだから、スウェットにしちゃおう。


「ちょっと!そこどいてー!」
「っ!?」

ドサッ。


「ちょっと…無茶しないでよ。」
「どいてって言ったじゃんか。
…ってあれ、着替え途中だった?」


今の状況。
スウェットのズボンに、パーカーの前チャック全開で仰向け。
上にスコップと缶の箱を持ったユウくんが乗っかってる。
顔と顔の距離約2センチ。
…実況してる場合じゃないわ。

「ち、近いです。」
「やばい。…誘ってるの?」
「…変態!」
「我慢できないよ、俺。」
「~~~~っ!」

いきなりキス、しないでよ。

「…力弱いね。はい、もう俺から離れらんないね、残念。」

最後に、首筋に跡をつけられてやっと離してくれた。

昔っから、独占欲強かったよね、そういえば。
おかげで小さい頃、ユウくん以外の友達できなかったもん。


「別に、離れたりしないよ。」
「知ってるよ。」
「じゃあ何で…」
「俺だって健全な男子だもん。」
「ほんっと、変態。ド変態野郎。」
「はいはい、行くよ。」


「…鍵、閉めろよ。」
「わ、分かってるもん。…あれ。開いちゃう、閉まんない。」
「カコ、焦りすぎだよ。かして?」
「焦ってないもん。」
「…はは。普通に閉まるじゃん。」


「…この公園。何年ぶりだろうね、ユウくん?」
「…つっ立ってないで手伝って?」
「あ…う、うん。」



「ずっと、そばにいてね。」



fin.