気分が悪いから、と学校を休んだ。

会いたくない人がたくさんいすぎる、学校は。


ママは今日もいないから、
自分で電話をかけ、そのままベッドに入った。
そして布団を頭までかぶる。




…どれくらい寝ていたのかな。
起きてみると、もう日が傾き始めた頃だった。

プルルル…

携帯が鳴る。
…ヒナから。

『もしもし…』
『カコ…体調大丈夫?』
『うん。って、ヒナ?…泣いてるの?』
『私ね…ついに狭山くんにフラれちゃった。』
『…』
『…分かってた、けどね。何となく。ごめんね、具合悪いときにこんな話。』
『ど…して。』
『他に好きな人ができたんだって。…多分ね、カコだと思うよ。』
『…言ってたの?』
『ううん。女の…勘?』
『何それ。…』
『カコの声聞いて安心した。じゃ、お大事にね。』


確かに私は悪い子。
他の人を大切に思えなくなってる。
ただ、ヒナを傷つけるのは許さないよ。


今の時間、17時30分。
そろそろ学校、終わるよね。

私は、昨日狭山くんに会ったところに向かう。
いるか分かんないけど。


あ、うちの学校の制服を着た人がいる。
多分そろそろ来るよね。

「…カコちゃん?」
「…狭山くん。随分と清々した顔だね。」
「あ、もう知ってる感じ?友達ごっこご苦労さま。それよりさぁ、学校来てよ。ヒナと別れたって噂広まった瞬間、2人も告白に来たんだけど。またロボット増えちゃうじゃん。早く公言しないと。」
「ヒナは、狭山くんのこと大好きだよ。でも、私は嫌い。ヒナを傷つけるなんて。最低。もう、関わらないで、苦しめないで、ヒナを。」
「で、カコちゃんは僕に何をして欲しいの?いいじゃん、いい子が嫌いな人と別れた。もう関わらないよ、苦しまないよ、ヒナはね。君は何が望みなの?」
「っ…!」
「正しいことしたじゃん、僕。」

そうだね…
よく考えてみればそうじゃない。

「…」
「明日は、来てね。僕たちの大お披露目会するから。」


「あっはははは。狭山くん、じゃあね。」


何かを吹き飛ばすように笑った。
こんなに笑ったの何年振りかな。

そうだよ、ヒナ。
正しいよ、これで。あんな悪魔、別れて正解。

…明日、学校行こう。
代わりに私が、悪魔に喰われたほうがいい。